コロナ禍をきっかけに、健康に対する関心が高まり、ウェルネスは今やブームとなっています。
しかし、情報が溢れる中で、何が本当に健康に良いのかを見極めることは一層難しくなっています。
多くの人が砂糖を「健康の敵」とみなしていますが、実はその背後には誤解があります。
このブログでは、薬剤師の視点から、質の良い糖の摂取がなぜ体にとって一番効率的なエネルギー源であり、体へのダメージを最小限に抑えることができるのかを明らかにしていきます。
砂糖に関する固定概念を覆し、真の健康へと導く情報をお届けします。
砂糖へのイメージと誤解
sugar≠sugary
皆さん、「甘いもの」はお好きですか?
私は大好きです!
毎日積極的に食べています。
もちろん、愛する子供たちにもたっぷり食べさせています。
「いいんですか?」と聞かれたら、「いいんですよ!」と胸を張ってお答えします。
でも、きっと、私の欲している「甘いもの」とあなたの欲している「甘いもの」は別物です。
皆さんの「甘いもの」は、ケーキ、クッキー、菓子パン、ドーナッツ、おまんじゅうなどを指しているのではないでしょうか。
これらの加工品は体にいい「甘いもの」ではありません。
この加工食品には、小麦粉や米などの穀物(でんぷん質)たっぷりに、プーファ(PUFA:多価不飽和脂肪酸)という摂りすぎると体に負担のかかる油がしっかり入ったものです。
このようなものを慢性的に食べていると、健康を壊していくのは当たり前ですが、それは砂糖のせいではなく、でんぷん質や、PUFAの害によるものです。
これから、私が薬剤師の視点で、なぜ現代人が「甘いもの=砂糖の入った甘い食品」「砂糖=悪」と誤解させられているのかをお伝えしたいと思います。
砂糖とはなにか
まず、最初にハッキリさせておかないといけないのが、
砂糖(サクロース)=ブドウ糖(グルコース)+果糖(フルクトース)です。
あなたの体は、砂糖(サクロース)でよみがえるのであって、
ブドウ糖(グルコース)単体で癒されていくわけではありません。
ブドウ糖(グルコース)+果糖(フルクトース)がセットであなたの滞っている代謝をまた動かし始めてくれるのです。
糖質の役割と重要性
病棟薬剤師から見た糖尿病患者と糖のエネルギー代謝
わたしは病棟薬剤師時代に、糖尿病療養指導士として入院されている糖尿病患者さんへの指導を行っていました。チーム医療の中で薬剤師としての指導なので、主に薬物治療に携わっていましたが、他の専門職の方の講義を聞くチャンスにも恵まれていました。
わたしがいつもおもしろいなと思って聞いていたのは、糖尿病を発症されている方への食事指導でした。
患者さんたちはみんな自分の症状についてきちんと教育されていたし、日本糖尿病学会が刊行している食品交換表を基に考えられたバランスのよいレシピの指導をされているにも関わらず、血糖値が安定する方もいれば、逆に全然安定しない人もいるのです。
印象に残っているのは、管理栄養士の考えるメニューを食べて血糖値を測るというイベントの日です。同じレシピで作られた、同じメニューを、同じ量食べたみなさんの血糖値の上がり方、全然違ったのです。
きちんと正常範囲におさまっている方もいますし、普通に上がってしまう方もいるし、ジェットコースターのように急上昇からの急低下をしている人もいました(こういう方は、隠れ低血糖症で気持ちも浮き沈みしやすい)。
ほんと、皆さんの血糖値、症状は様々。
ただ、一つ共通していたのは「糖」への渇望感だったように思います。
入院患者さんは、病院食では満たされないようでした。
実際には、出された食事は全て食べないこともしばしばなのに、売店でこっそりアンパンやシュークリームを買っているんです。
そもそも、糖尿病で入院指導になるかたは、「教育入院」と言って、自宅での血糖値のコントロールができないために主治医に半強制的に入院させたれる方です。
数回目になると、先生はもちろん、看護師さんや管理栄養士さんの目は厳しくなります。
わたしは、薬の事に関しては口うるさく言うけれど、食事指導に関してはその専門の人が行っていたので患者さんからは「食事に関しては怒らない人」という認識をされていたからか、子供が悪戯をした時のような顔で自分の「戦利品」を見せてくれていました。
そのころのわたしは「あ~あ、そんなんだから治らないんだよ」と思っていたし、実際、他の医師やコメディカルの評価も「2型糖尿病はだらしない人・自分を自制できない人がなる病気」でした。
でも、事実はそうではないのです。
エネルギー代謝というのは、「糖の」エネルギー代謝のことです。
糖をエネルギー源としたミトコンドリアでの燃焼こそが、わたし達の健やかな生命維持の場のために必要なのです。
そして、当時は知りませんでしたが、砂糖のない食事は食欲を低下させるのです。
生命体はストレスを引き起こすような食事は本能的に受け付けないようにできています。
糖をとらずに食べる脂質とタンパク質は体に負担をかけるからです。
ヒトは生きるために「糖」を欲している
私達は食べたものからできています。
そしてその食べ物の中で、私達人間の生命維持や身体活動などに欠かせないカロリー源となり、ATP(アデノシン三リン酸)に変換するエネルギー源となってくれるのが、
糖質
脂質
タンパク質
の三大栄養素です。
ATPとは「生命の通貨」と言えます。
ATPが多い状態は、細胞や体が高いエネルギー準備を持っていることを意味します。
細胞がたくさんエネルギーをもらえるということは、元気よくたくさんのエサを取りに行けて、消化・吸収・排せつがしっかりできて、狩りで傷ついた体を回復させれて、初めて行ったところで出会った細菌を体の中でやっつけることができて、延期がたくさんsるから心にも余裕が生まれるということなのです。
さて、エネルギー源は三つあるというのがポイントで、どれかが枯渇した時用のバックアップのプログラムがちゃんと準備されています。
私達の体はどのようにすれば効率よくこの生命体を生き延びらせることができるかを常に考えていて、一番省エネの方法で遂行していたプランAがダメになったらプランBを発動させます。
すごいですよね。
では、どのエネルギー源を使うのがベストなのかという話になってくるのですが、
それはもちろん「糖質」です。
1分子のグルコースがエネルギー源として完全燃焼された時にできるATPは32分子で、残りの二つに比べると圧倒的に安全な経路を通って作られるのです。
だから、体がエネルギー切れを起こしたときに「甘いもの」が欲しくなるのは当たり前のことなのです。
糖質制限のリスクと副作用
糖がなぜ必要なのかをお分かりいただけたかと思います。
でも、タンパク質や脂質もエネルギー源になり得るのでしたよね。
そもそも、エネルギー源になるから「糖質制限」「低糖質ダイエット」が流行っているのです。
では、なぜ糖ではなくタンパク質や脂質を主なエネルギー源とすることに懸念が生じるのかをみていきましょう。
糖質
糖質は体がエネルギーを生成するための最も効率的な原料です。特に赤血球と脳は、糖質(グルコース)を主なエネルギー源として利用します。糖質の摂取を極端に制限すると、エネルギーを効率良く生産できなくなり、低体温、疲労感や集中力の低下、最悪のパターンになると脳の壊死を引き起こすことがあります。
タンパク質
タンパク質は主に体の修復や成長、酵素やホルモンの合成に使われます。
タンパク質をエネルギー源として過剰に使うことは、これらの重要な機能が犠牲になる可能性があります。そして、タンパク質を分解した時に大量に発生したアンモニアを解毒できずに、アンモニア脳症を引き起こすこともあります。
脂質
脂質はエネルギー源として利用されるほか、細胞膜の構成やホルモンの合成にも不可欠です。
しかし、脂質を分解してエネルギーを得るプロセスは糖質を使う場合よりも複雑で、ケトン体という代謝産物を生じさせます。ケトン体は適度な量であれば問題ありませんが、過剰になるとケトアシドーシスを引き起こすリスクがあります。
質の良い糖質の選び方
糖質にはたくさんの種類があります。
何でもいいというわけではありません。
ミトコンドリアで素直に使われるものが理想です。
それは何かといったら、はちみつと砂糖で、その中でも黒糖をお勧めします。
はちみつ
はちみつも、混ぜ物がしてないものを選んでください。
驚かれるかもしれませんが、スーパーで安く売ってあるものは、はちみつ自体に加糖されていたり、加熱されていたりすることがあります。
欲を言えば、蜂に人工的にえさを与えていない物が最高です。
わたしたちが、食べたものからできているのと同じように、ミツバチも食べたものからはちみつを作ります。
エサにコーンシロップや、ブドウ糖化糖液糖のようなものが与えていないかチェックできると良いです。
黒糖
黒糖も加工はお勧めしません。加工はプロセスです。
石灰など入っていて、固まりやすくなっています。
最高なのは発酵黒糖で、どちらかというと「ねっとりしてる鰹節」みたいな味です。
甘いんだけどしょっぱいような感じで、アミノ酸も豊富です。
抵抗のある方は、もっと糖度の高い加計呂麻の黒糖とか沖縄の黒糖からトライしてみてもいいと思います。
果糖ブドウ糖液なんて最悪で、私にとっては糖ではありません。
糖質制限の代わりに考えるべきこと
そもそも、なぜ、糖質制限をしようと思ったのでしょうか?
体重減少・ダイエットのため、メタボリックシンドロームの改善のため、血糖値の安定のため、などいろいろあると思います。
そうなのです、みなさん「自分が健康になる」「理想の自分になる」ことを目指して始めた方法で、どんどん不調の種を育てているのです。
本当に糖は「悪」なのでしょうか。
他に目を向けるべき生活習慣があるのではないでしょうか?
実際のわたしが食べている量
さて、実際わたしがどのくらい糖を食べているかという話になるかと思います。
答えはシンプルに「必要な分だけ」です。
すみませんが、本当なんです。
1回●●gを、いつ、どのように、なんて決めてません。
体が教えてくれるんです。
体は正直です。
欲しがっている時に、欲しがっている分だけ与えてあげてください。
「ほんもの」を口にすると、必要以上は食べられなくなります。
これは本当です。
最初はたくさん食べてしまって「怖い」って思うかもしれませんが、代謝が変わってくると、必ず食べ方が変わっています。私も始めたころは、1か月で2キロくらい食べてました。
子供は成長期でもっと欲しがるので、はちみつ貧乏になってましたよ(汗
わたしは、黒糖の方がいいなって思うときは黒糖にするし、「あ!エネルギーもう切れる」と思った時や寝る前にははちみつにします。
体がどんどん変わっていくのはおもしろいですよ。
だからと言って、極端なことはしないでくださいね。
はちみつオンリー、黒糖オンリー生活はダメってことです。
必ず1日を通じて、トータルで見た時にバランスよく栄養がとれているようにして下さい。
まとめと次への一歩
このブログを通じて、私たちは「糖質制限」が健康へのショートカットではないことを探求してきました。糖質、特に質の良い糖の重要性に光を当て、誤解を解き明かしてきました。糖質を恐れるのではなく、私たちの体とどのように上手く付き合っていくかが重要です。糖は生命維持に欠かせないエネルギー源であり、健康な代謝を支える鍵です。
まとめ
- 糖質制限の流行背景とその誤解を解明しました。
- 質の良い糖の摂取がいかに体にとって効率的なエネルギー源であるかを説明しました。
- 糖質制限に伴うリスクと副作用を指摘しました。
- 質の良い糖の選び方と実践的な摂取方法を提案しました。
次への一歩
糖質制限のデメリットを理解した上で、皆さんが取り組むべきは、質の良い糖を適切に取り入れることです。はちみつや未加工の黒糖など、自然な甘さを楽しみながら、バランスの取れた食生活を心掛けましょう。そして、体が欲する量を聞き、必要なエネルギーを適切に供給することが大切です。
これからも、食事と健康に関する誤解を解きほぐし、科学的根拠に基づいた情報を提供していきます。皆さんの健康への旅が、より豊かで満足のいくものになるよう、このブログが一助となれば幸いです。次回も、健康とウェルネスに関する興味深いトピックを取り上げますので、ぜひご期待ください。
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