多くの人が、がん手術を受ければがん細胞が体から完全に除去されると信じています。しかし、科学的研究はこの常識に衝撃的な事実を突きつけています。
手術から何年も経過後も血中に残るがん細胞
驚くべきことに、がん手術を受けた患者の血液中には、何年、あるいは何十年経過しても、がん細胞が検出されることがあります。2004年、Mengらの研究チームは衝撃的な発見をしました:
乳房切除術を受けた女性の36%において、手術から7〜22年経過した後も、血液中にがん細胞が存在していた
これらの細胞は「循環腫瘍細胞(CTC)」と呼ばれ、通常のがん診断と同じ方法で血液検査によって検出できます。
がん細胞の巣(Nests)の存在
では、これらの循環腫瘍細胞はどこから来るのでしょうか?
精密な組織生検を行うと、体内のさまざまな部位に「がん細胞の巣」が見つかることがあります。これらは手術で除去しきれなかった微小ながん組織、あるいは初期段階で形成された新たながん細胞の集団である可能性があります。
しかし重要なのは、これらの細胞が必ずしも急速に増殖するわけではないという点です。多くの場合、これらのがん細胞は体内環境によって制御され、増殖と死滅のバランスを保っています。
知られざる事実:私たちの体内のがん細胞
1969年、ハリー・ルービン(Harry Rubin)博士による解剖研究で、驚くべき事実が明らかになりました:
50歳以上のすべての人が、診断可能ながんを少なくとも1つ持っている
つまり、多くの健康な人の体内にも、微小ながん細胞は存在しているのです。それにもかかわらず、これらの細胞が増殖して診断可能ながんとなるのはごく一部のケースに限られています。
がん治療の新たな視点:環境を整える
Ray Peat博士が提唱するように、がん治療において重要なのは「がん細胞をすべて除去すること」ではなく、「がん細胞が暴走しない環境を整えること」かもしれません。
がん細胞が活発に増殖するか、それとも休眠状態を保つかは、以下の要因に大きく影響されます:
- ストレスレベル
- ホルモンバランス
- 食事内容
- 代謝状態
- 免疫系の活性
これらの要素を最適化することで、体内に存在するがん細胞を「休眠状態」に保ち、増殖を抑制できる可能性があります。
プロメタボリックアプローチ
米国で注目されている「プロメタボリック」アプローチは、代謝を最適化することでがん細胞の増殖を抑制することを目指しています。この考え方では、単にがん細胞を攻撃するだけでなく、体全体の代謝環境を改善することが重要視されています。
具体的には:
- 適切な栄養素の摂取
- 炎症の抑制
- ミトコンドリア機能の改善
- ホルモンバランスの最適化
これらを総合的に改善することで、がん細胞が増殖しにくい体内環境を作り出すことが可能になるかもしれません。
まとめ
がん治療において「すべてのがん細胞を除去する」という従来の考え方には限界があります。代わりに、がん細胞が存在していても増殖しない体内環境を整えることが、長期的ながん予防と管理に重要な可能性があります。
手術や放射線療法、化学療法などの従来治療は依然として重要ですが、それらと並行して代謝環境の最適化も考慮すべきでしょう。
この新たな視点は、がん治療と予防に対する私たちの理解を根本から変える可能性を秘めています。